シドニー(オーストラリア), 2012

シドニーの高層ビルが見事な緑のオブジェに

ワン・セントラル・パーク

この建物は最高級の驚異的な建築です。事実、シカゴのイリノイ工科大学の審査委員会からは世界で最も優れた超高層ビルとして表彰されました。その理由は、このビルがコンクリートの巨大なお化けではなく、流行を作り出す建築であり、芸術的で、環境にやさしく、シンプルに美しいからです。このビルを通り過ぎる際に、その素晴らしさに目を奪われない人はいません。

つる植物や葉が生い茂る緑の驚異的な芸術が、15,000 mのワイヤロープとロッドを使って、2軒の住居用タワーに聳え立っています。こうした偉業を達成するには、豊富なアイデアと最高の材料、そしてこの分野で最も有能な専門家と会社が必要です。このシドニーの大プロジェクトには、フランスの人気建築家ジャン・ヌーベル、フランスの植物学者パトリック・ブラン、そして – 実現には – オーストラリアの企業Tensile Design & Construct社が参加しました。世界的に見てもユニークなこの研究のために、ヤコブ・ロープ・システムズもこの建築作品を実現する企業のグループに加わりました。オーストラリアの大都市の真ん中に大胆なプロジェクトを実現可能にするには、建築用ロープが寿命の点からも美的な点からも最適でした。こうして建物が完成したのです。

写真:Simon Wood Photography

冷たく聳え立つ壁面に沿って花が咲き乱れ、新芽の緑が広がっている光景は魔法の「空中庭園」を彷彿とさせますが、「ワン・セントラル・パーク」という名前はどこか素っ気ない感じです。34フロアの住宅を超え、上に向かって伸び続け、目が眩むほどの高みに届いています。そして記録が立て続けに破られています。ヤコブ・ロープ・システムズの「GreenSolutions」製品シリーズのロープシステムは、1,120 m²の垂直面を含み、35,200本もの植物に持ちこたえ、これらの植物がオーストラリアの暑い夏に建物室内のための日陰と冷却の両方をもたらします。直射日光の強い時期には、エネルギー消費が通常よりも30%も低く経済的です。

623戸の住宅だとエネルギーもかなりの量になります。土のない壁面で緑が育つようにするために、特殊な遠隔制御の点滴灌漑システムが開発されました。植物の根はフェルトを使ってワイヤロープネットワークに取り付けられており、このフェルトに脱塩水をしみ込ませることができます。ヤコブ・ロープ・システムズの特殊ロープにとっては何の問題もありません。このロープは、塩分を含む天気の影響や港町シドニーの太平洋の気候に耐えられます。「ワン・セントラル・パーク」に住むということはかなり特別なことであり、お金もかかります。しかし、住人だけでなく、訪問者も建物の特別さを体験することは可能なのです。流行りのカフェやレストラン、ショップがあります。エスカレーターはショッピングセンターにつながっています。そして、2つのビルは見事に調和して一体になっていますが、これらの間に陰ができないよう、反射材やカンチレバーアーム、ヘリオスタットが普通なら日光が射し込んでこないような場所にも明るい、自然な昼の光をもたらしています。夜でもLEDが色とりどりに輝くので、まだ煌々としています。